U.家庭でのことについて
【設問の設定意図】
 学校でパソコンやインターネットの使い方を指導している一方で、家庭に帰った子ども達がどの程度パソコンを利用しているのか実態を調査するとともに、インターネットでのトラブルが増加している今、山形市の子ども達のインターネットや携帯電話・PHS、メール、チャットの利用状況を把握することが目的である。また、パソコン、インターネットの普及率についても調査すると共に、全国との比較について考察する。

1 家庭でパソコンが使用できますか。
 家庭でパソコンが使用できる環境は約7割にのぼり、リテラシーの向上という観点からとらえれば、大変好ましい状況に変化していると考えられる。
 また、全体としては、約3分の1の児童が「いつでも好きなときに使える」環境である。そして学年をおうごとにその割合は増えつづけ、6年生では45%、中学生になると半数を超えてしまう。家に帰ってからおうちの人の目を気にすることなく自由にパソコンが使える環境が急速に増えており、誤った使い方をしてもストップをかけてくれる方がおらず、使い方によってはトラブルに巻き込まれる可能性も高くなっていると考えられる。
 学年が進むにつれて自由度が増すのは当たり前のことだと思う。パソコンやインターネットがTV化し、自由に見られる環境が整ってきていると思われる。情報教育の授業内容を見直し検討する時期が近い。

2 自分が自由に使える携帯電話やPHSをもっていますか。
 小学生のうちは保持している児童は少数ではある。そして皆無ではない事がわかる。(5%前後)中学生になると、倍以上に増加する。小学生が携帯電話をいったいどのような使い方をしているのか、興味のあるところであり、やはりトラブルに巻き込まれないような使い方を家庭とともに考えていくことがこれからは必要になってくるだろう。

3 家庭でインターネットが使用できますか。(以下,パソコンが無い家庭は除く) 4 家庭でインターネットをどのくらい使っていますか。(以下,インターネットを使用できない家庭は除く)

 全体的には40%の家庭で児童もインターネットができるようである。そのほとんどが、ほとんど使わないか、ときどき使う程度である。ただし、各学年とも2〜5%程度、毎日接続している児童がいることも忘れてはならない。これらの児童があやまった使い方や、トラブルに巻き込まれないアクセスを指導する必要があるだろう。


5 家庭でインターネットをするときに、約束事が決まっていますか。
 インターネットをする上での約束事は、どの学年も決めていない家庭の方が多いようである。指導の必要性を感じている家庭が少ないのかもしれない。少ないとはいえ、小中学生のネット上のトラブルも増えつつある昨今、インターネット使用に関するマナーやエチケットを学校と家庭の両面から指導していく必要があろう。

6 家庭でパソコンの電子メールを使ったことがありますか。
 3・4年生が10%前後に対して、5・6年生になると30%に増加し、中学生になると40%を超える結果となった。まだまだ小学生では電話などと比べて電子メールは一般的でないようだが、高学年からは徐々に指導が必要になってくるだろう。

7 インターネットで『チャット』をしたことがありますか。 8 インターネットで『出会い系サイト』を見たことがありますか。
9 知らない人からメールをもらって、その人に返事を出したことがありますか。 10 知らない人からメールをもらって、実際に会いに行ったことがありますか。

 7、8、9、10の項目に関しては、極少数ではあるが、子ども達が実際にインターネットの『チャット』『出会い系サイト』を介して、画面の向こう側の見ず知らずの人たちと接している実態が伺える。
 そのほとんどは、興味本位と考えられ、その先に待ち構えている様々なトラブルを想像もしていないと思われる。家庭や学校での指導なしの「野放し」状態でアクセスしているのであれば、ごく一部の児童とはいえ、見逃すわけにはいかないだろう。今後、どの学年でどのような内容をどのように子ども達に指導することが効果的か考えていく必要があろう。


【 考 察 】

 小中学生の家庭でのパソコン普及率は7割を超え、全国の普及率を大きく上回っていることがわかる。親の年齢を考えると当たり前のように思われるので同年代の全国普及率と比較してみたい。
 そんな中で、小中学生の中にも、いつでも自由にインターネットに接続できたり、チャットや出会い系サイトにアクセスできる実態が浮かび上がる。家庭での約束事が必要であるとともに、学校でのモラル面の指導のあり方も同時に検討していく必要がある。また、各家庭にも、この現状を伝える機会を設け、どの家庭にも起こりうる問題であることを周知させる必要がある。

 中学校で5割の家庭がインターネットに接続できることがわかった。親の年齢層が若ければインターネットの接続が多いと予想していたが、結果として逆になった。
 パソコンの普及率は学年による差が少ない。それに対して、インターネットの普及率は学年が進むについれて増加傾向が見られる。
 情報教育の充実や「総合的な学習の時間」での調べ学習や情報収集手段としてインターネットが頻繁に利用されている結果だと思われる。このようにパソコンを使用した学習が少なからず子ども達に影響し、その結果として、子ども達が家庭でのインターネットへの接続を願うことにつながり、学年が進めにつれて普及率が高くなったと思われる。
※【全国普及率について】内閣府経済社会総合研究所が02年4月に発表した、日本の家庭パソコン普及率(02年3月末)は57・2%と米国を上回ったと発表した。98年の25・2%から、00年に38・6%、01年には50・1%まで上昇した。この時点で米国(51・0%)に肉薄したが、その後、日本の伸びが米国を上回ったようだ。

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