V.情報を扱う場合の約束事について
【設問の設定意図】

 子どもたちに身につけさせたい情報モラルを、以下の5項目として捉え、子どもたちの身近な場面と関連させた問題を考えた。そして、その現状を把握し、これからの指導に生かすことをねらいとしている。
 @ 著作権
 A プライバシーの保護
 B コンピュータセキュリティ
 C ルールやマナー(ネチケット)
 D 有害情報に対する対処


1 あなたは、これまで友人や知人から音楽CDを借りて自分用に録音した経験がありますか。
(著作権)
 音楽CDの録音について、小学校については少なかったものの中学生になるとその割合が増加し、中学2年では約半数の生徒が音楽CDを何らかの形で録音した経験がある。レンタル店の利用なども含めての回答と思われるが、学年があがるにつれこの点についての指導はますます大切になってくる。

2 自分の大好きなキャラクターや歌詞を自分のホームページに貼り付けて公開することは良いことでしょうか。
(著作権)
 キャラクターのHPへの貼り付けをしてもいいことと認識している児童生徒が学年を追うにつれ増加している。指導としては、本人の了解をえれば、使用することも可能であることや、学年の発達段階に応じて教科内容にとらわれることなく、著作権の正しい意味をさまざまな場面で教えていく必要がある。

3 あなたはこれまでに、自分以外の人が写っている写真を友達に配ったことがありますか。
(プライバシーの保護)
 自分以外が写っている写真の第三者への配布については、配布先を友人・知人と考えているものと思われるが、他人の情報を守るという点での意識の低さが学年を追うにつれ高くなるのが目立つ。

4 電子掲示板や、アンケートのホームページに自分の本名、電話番号など(個人情報)を書き込んだことがありますか。
(プライバシーの保護)
 この設問は、個人情報をどれだけ意識しているかを問う設問である。個人情報の重要性を認識している児童、生徒が多い。ネット社会の危険性についてもふれ、実際の問題などもあげながら指導していく必要がある。

5 自分が有名になりたいからと自分のホームページに住所や顔写真を載せようと思います。これはやっていいことでしょうか。
(プライバシーの保護)
 学年をおうにつれ、HPに自分の顔写真や住所を載せてもよいと考える児童、生徒が増加している。HPに掲載することにより個人情報がいろいろな人の目に触れ結果として悪用される危険性がこともあることも具体的な事例もあげながら指導していくことが大切である。

6 メールボックスを開いたら、誰から来たのかわからないメールが届いていました。あなたならどうしますか。
(セキュリティ)
 小中ともセキュリティについて子供達の認識の低さと甘さがうかがえる。コンピュータウイルスの問題を取り上げ、これはいろいろなルートからコンピュータに入ってくることや、コンピュータが動かなくなること、それによって被る被害などを具体的に例示し、それに対する対処の仕方を早急に身につけさせていかなければならない。また、意識しなくても自分が加害者になってしまう恐れがあることなども併せて指導する必要がある。

7 あなたはこれまでに電子掲示板やメールを用いて、全く知らない人や面識のない人(顔を知らない人)と意見交換をしたことがありますか。
(ルールやマナー)
 小学校段階では少ないものの中学校では学年が上がるにつれ、ネット上で意見交換を行っている生徒が多い。また、中学生で携帯電話の所有率が高くなっている実態からも、携帯電話を通じてのメール交換をしている生徒が多いと考えられる。これからの学習場面において、ネット上でのルールやマナーを正しく指導していくことが大事であると考える。

8 調べ学習中をしていたら、一つのホームページが見つかりました。あなたはその情報をすぐに活用しますか。
(有害情報に対する対処)
 小学校においては、高学年の社会や理科の学習、中学校では総合的な学習の時間などを中心にHP検索からの情報の収集・活用が多くなる。設問では、一つのHPだけで満足する情報を得ることができると答えた児童生徒が多い。HP検索を扱う初期の段階で一つのHPだけでなく、別のHPや本なども調べてみること、また集まった多くの情報の中から適切に情報を判断し、活用していく力を身につけさせる指導が重要であると考える。

【 考 察 】
 上記のアンケート結果から、スキル面での指導と合わせ、情報モラルの重要性を早急に認識させていく指導が必要である。情報モラルをただ知識として身に付けるだけでなく、発達段階に応じて、具体的な事件・事例の場面をあげた指導や、ロールプレイング的な指導を行うことで、生活の中に生かせるようにすることが大切である。

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