W.コンピュータ利用に関する希望について(小学生)
【設問の設定意図】
 多種多様な環境や指導者のもとで、コンピュータに触れている子どもたちである。その子どもたちがどんな意識や願いを持って、コンピュータを利用しているのか明らかにしたい。そして、自校の実態と照らし合わせることによって、コンピュータに関する環境整備と指導法改善の一助としてほしい。

1 学校でコンピュータを使って学習していますね。あなたのクラスでの、その時間をどうしてほしいですか。
 コンピュータを使う時間がほしい子どもが、各学年とも7割近くを占め、前向きな学習意欲がある。反対に、時間を減らして欲しいという子どもはほとんどいないことから、コンピュータ学習に対してプラス面の意識を持つ子どもが多いということを表している。
 子どもの願いに対応できるように、コンピュータを使う時間を増やす工夫や、指導法の改善が望まれる。

2 休み時間にコンピュータが自由に使える学校があります。あなたは、休み時間に使ってみたいですか。
 各学年とも、4分の3以上の子どもが休み時間に自由にコンピュータを使うことを願っている。
 学習時間以外に自由にコンピュータが使える環境が整っていることを願うが、そうでない場合は、コンピュータ室開放の環境作り・自律的なルール作りを急ぎ、パソコンを身近にしていく手立てが必要である。

3 コンピュータではいろいろなことができます。あなたが、コンピュータでしてみたいことを全部選んでください。

 学習に限定した設問ではないため、各学年を通して、ゲームをすることが第1位である。
 絵を描くことにも人気が集中しているが、日頃の使用目的がお絵かきであることをうかがわせる。
 4年から5年にかけて、インターネットを使うことが20ポイント増加していることは、高学年での調べ学習等での使用が影響していると考えられる。3.4年でも、インターネットを使う経験を、もっと積ませてもよいのではないだろうか。


4 学習でインターネットを使って学習することがありますね。あなたが、コンピュータでしてみたいことを全部選んでください。

 設問3と同様、各学年ともすべて、ゲームが第1位を占める。第2〜3位もほとんどの学年で、「ホームページを見る」と「映像を見る」で、映像や画像をみることを楽しみにしているようである。また、ホームページをみることは、学年を追って明らかに増加する傾向が顕著で、実際の学習場面での利用が増えているものと考えられる。
 学習という目的に照らせば、お遊びのゲームはそぐわないので、子どもの意識の改革とともに、ゲーム形式の学習がますます人気を得ていくことが予想される。


5 あなたがコンピュータを使うとしたらどこで使いたいですか。次の中から選んでください。

 家や学校でも両方使いたい人が、多数を占め、身近にコンピュータを使いたい希望が多い。また、上学年になるにつれて、学校から家へと、使いたい場所が変化している。学校で慣れて、家で使えるよう進んでいくのではと考えられる。
 情報リテラシーを獲得させ、様々な場面でコンピュータが使えるようにしていく必要がある。


6 自分専用のコンピュータがほしいと思いますか。

 6学年では、自分のコンピュータを所有している子どもが1割を超しており、家庭でもパーソナルに自分のコンピュータを使う環境が整ってきている。また、パソコンを欲しがっている子どもが6割以上おり、プラスイメージ、自由に使える環境を多くの子どもが望んでいることがわかる。
 コンピュータを所有したい願望が多いことを、家庭や学校に広く知らせるとともに、学校においてもハード面の整備を今後充実させていく必要がある。


7 コンピュータを学校で使ってみて、どんな感じがしますか。一番近いものを選んでください。

 各学年で約7割が、面白いと感じ興味を持っており、好印象である。設問6と同様、コンピュータに対してプラスイメージ、これまで楽しい経験を積んでいる事がうかがえる。
 また、必要最低限は覚えておきたいと考えている、やや消極的な子どもも2割をいるが、今後さらに学習面においてコンピュータを使って、「楽しい学習」の創造に努力していくことが必要である。


8 あなたが、学校の学習でコンピュータをつかうとすれば、どんな教科で使ってみたいですか。いくつでも選んでください。

 3学年から6学年まで、社会と総合学習のポイントが増加していき約7割に達することは、その学習でのコンピュータ活用が実際に積み重ねられている成果である。また、理科のポイントが高いのは、映像を見ることなど、実際にその教科で使った経験があると考えられる。
 子どもたちは、概して「様々な教科で幅広く使うこと」を望んでおり、教科・領域に応じたコンピュータの活用法を創意工夫すべきである。


9 あなたが、学習で1台のコンピュータをつかうとすれば、何人で使えるといいですか。
 パソコンを一人で占有することなく、複数人で使いたい子どもが6割弱おり、友達と相談しながら使っている実態が浮かび上がる。学年間の差はほぼみられず、「2人に1台」の現状が定着しているものと思われる。
 しかし反面、1人で使いたい子どもが6学年では4割を越えている。「コンピュータ1台あたりの平均子ども数」がきわめて多い本市にとって、1単位時間での使用効率を考えると、ハード面の整備(一人1台環境)を早急に進めていくことが必要である。

【 考 察 】
 「コンピュータをもっと使いたい。」という、よいイメージを持った子どもが多数を占め、今度ますます身近にコンピュータを使えるようにするため、環境整備とリテラシーの修得が必要である。また、コンピュータが学習時の装置として活用するにとどまらず、より身近で使える道具になるよう、コンピュータ室を子どもたちに開放し、利用の機会を増やすなど、学校の体制面からの工夫が望まれる。
 現在総合学習や社会・理科における利用の多さが伺われるが、そのほかより多くの教科・領域におけるコンピュータ活用法の積極的研究が今後必要と思われる。
 一方、「一人で」、「自分の」という個人の責任が問われる環境に移行するにつれ、自律的なしっかりとしたモラルが必要条件となる。学校における体系的な情報モラル指導を、今後前提とする必要がある。

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