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【設問について】 |
小中学校で教育用コンピュータの整備が進み、学習活動においてコンピュータが広く使われ、また、家庭での普及も目覚ましい現在、児童・生徒のコンピュータリテラシーの実態を把握し、今後の指導に生かしていくことを目的に、設問を設定した。 |
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質問1.「できること」を全て選んでください。 |
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小4以上は、ほぼ100%と考えてよいレベルに達している。
子どもたちにとってはコンピュータがより身近なものになり、テレビのスイッチを入れる様な感覚に近づいてきているのではないか。 |
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昨年度との比較では、それほど大きな変化はみられないが、小学校では順調な右肩上がりになっている。
いろんなソフトを使ってみたいという子ども達の欲求に教師側が答えていることや学習に活用できる多様なソフトが導入されてきている表れではないか。 |
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小・中学校それぞれに、学年にあわせて右肩上がりになっている。
ソフトによっては保存先が自動的に設定されるものも多く、子ども達は「保存」という作業はしていても、任意の場所にデータを保存したり、そこから呼び出したりしているという意識が薄いのではないか。
※中学校での数値の低下は小・中学校で設問の文章表現が違ったため、内容を難しく捉えた結果と考えられる。 |
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小学校で高い数値を示しているのは、コンピュータ学習の入門期として、お絵かきソフトが広く使われていることの表れと考えられる。
中学校で数値の低下がみられる。もちろん中学生も小学校での経験からお絵かきソフトなどでの作図はできると考えられるが、「図形処理ソフト」という言葉を難しく捉えてしまったか、あるいは、授業場面での活用が少ないことが原因ではないか。
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小・中学校を通じて着実に数値が上がっている。
小学校では、ローマ字学習や案内状をコンピュータで作ったりといった活用が広まり、さらに中学校では、技術・家庭の授業にワープロソフトを取り入れている学校も多く、文字入力の機会が多くなってきていると思われる。 |
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学年にあわせて数値は上がっている。ただし、全体的に低い値となった。
撮った写真を資料として印刷して、掲示したり、提示したりという段階にとどまっている。
まずは、指導する教師側のリテラシーの向上が望まれる。 |
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数値は低いものの、小・中学校それぞれに、学年にあわせて右肩上がりになっている。
総合学習のまとめや発表に活用されるケースが徐々に増えてきているのではないだろうか。 |
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後の「質問4 授業で学習した内容」よりも数値が高い学年がある。家庭で個人のホームページ作成に取り組んでいる子どもがいることの表れと考えられる。 |
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小学校の高学年から、様々な教科で情報収集の手段として大いに活用されているという現状から、それに伴い数値も高くなってきている。 |
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後の「質問4 授業で学習した内容」よりも数値が高くなっている。また、中1・2では、昨年度よりも数値が上がっている。
家庭でのコンピュータとインターネット環境の普及がさらに進んだことにより、家庭でメールを活用する機会が増えてきていることが表れた数値であろう。 |
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質問2.普段どんな方法で文字入力をしていますか。 |
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ローマ字を学習する4年生から、ローマ字入力がかな入力を逆転している。小学校高学年からは、ほとんどの子どもが何らかの方法で文字を入力することができていることがわかる。 |
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質問3.使うことのできるものを全て選んでください。 |
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周辺機器として、プリンタやデジタルカメラの活用度が前年に比較して大きく伸びている。プリンタにおいては、インターネットで集めた情報資料の印刷や、自分の作品の印刷など、活用する機会が多くなっていることが考えられる。デジタルカメラは、操作が簡単であることから見学等で子どもたちが自由に活用する機会が増えてきていることによる伸びと考えられるが、利用できる台数が今よりも増えれば、さらに数値が高くなっていくことが期待できる。 |
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主に教師側が資料作成やデータ管理のために活用する機器であることから、子ども達が直接利用する機会は少なく、当然、数値は低くなっている。活用の機会を増やしていくためには教師側のリテラシー向上が必要となる。 |
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質問4.授業で学習した内容を全て選んでください。 |
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各校ごとのデータに目を向けてみると、小学校高学年からは、すべての学校でパソコンの学習が行われていることがわかる。あえて問題点を指摘すれば、小学校1年生から各校で定めた指導計画に沿って学習が進められれば、小3でも100%に近い数値が期待できるのではないだろうか。 |
小学校では主に導入段階でお絵かきソフトが活用されているケースが多いため、高い数値になっている。中学校では発展的に活用している場合が多く、アンケートの質問内容も高度な内容を期待しているようにとれるため数値が下がっていると思われる。 |
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小学校では子ども達の興味・関心を高めるために授業で扱うことケースが多いことの表れと考えられる。逆に中学校ではその段階は超えていると考えられるので、当然、数値は下がる。 |
小学校高学年での数値の高さは、コンピュータが作品やレポート、発表資料の作成など、まとめる段階でも活用されており、必然的に授業にも取り入れられてきていることの表れであろう。中学校では取り立てて授業では扱わず、他のソフトへの文字入力といった発展的な学習に進んでいるために低めの数値となっていると考えられる。 |
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小学校段階で、90%以上の子が経験している。総合的な学習などにおいて、子ども達の主体的な調べ学習などに欠かせないものになってきていることは明らかである。 |
6年生段階でも38%にとどまっている。機器としての手軽さを考えると、もっと学習場面、使用機会が増えてほしい。そのためには台数を増やすといったハード面の課題も残されている。 |
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子どもが直接操作する機会が少ない機器なので、必然的に授業で取り上げられることも少ない。 |
中学校では教科学習の中で、必要に応じて活用された例があったものと思われる。 |
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特に小学校では、外部との交流という点で制約も多く、大きな広がりにはなっていないようだ。山形市の情報ネットワークの活用を期待したい。中学校では英語の授業の一環として海外へのメールを取り入れている学校もある。情報モラルの指導での活用もみられる。 |
小・中学校とも最高学年での数値が高い。これまで積み上げてきたものを生かし、学習のまとめの手段として活用させたいという教師の思いが反映していると考えられる。 |
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まだまだ数値は低いが、情報発信の発展的な手段として取り入れてる例が徐々に出てきていることの表れであろうか。学校のHPに子ども達が参加しているケースもみられる。 |
全体としての経験は少ないが、一部、中学校の技術家庭の授業で取り入れられている例がみられる。 |
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【 考 察 】 |
昨年度と比較できる項目については、ほぼ全ての数値が昨年度よりも上回っている。これは、コンピュータの基本操作の学習が多くの学校で実施された結果であり、学校現場での必要感の高まりと先生方の努力の成果の表れであると考えられる。また、教科の学習の中にもコンピュータの活用が浸透してきており、必然的にリテラシーが高まった結果とも読み取ることができる。ただし、特に小学校の教科で活用される場合は、同じ学習内容であっても学習の進め方やまとめ方、あるいは指導者によって、コンピュータの活用を経験する子としない子が生じてしまう可能性があり、その後のデジタルデバイドへつながる危険性も含んでいる。基本的な操作については、どの子も平等に経験したり、身につけたりできるように、各校の指導計画に基づいた足並みを揃えた学習が必要である。
また、中学校においては、小学校でほとんどの子がここまでのリテラシーを身につけてきているはずだという前提に立てれば、スタートラインを今よりも高く設定し、その分、多様な活用につなげていくことも期待できるのではないだろうか。 |
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