リテラシー面の調査結果を見ると、昨年度までと同様、学年に合わせてほぼ右肩上がりとなっており、発達段階と学習内容による必要性に合わせて、順調に定着してきているといえる。
また、質問内容を分析すると「家庭での経験によってもともとできる子」ではなく、「学校の学習経験や指導によってできるようになった子」が増えてきていることが見える結果となった。今後も学校や学年間、あるいは学級間のデジタルデバイドを生じさせないように系統的に指導されていくことが重要である。
ある程度順調に伸びているリテラシー面の実態に対し、他の二つの面では大きな課題が見える結果となった。
どの学年でもパソコンの普及率は80%を超え、家庭でパソコンが使える環境、実際に使っている時間が着々と伸びていることがわかる。合わせてインターネットの普及も進み、児童・生徒も学習に関する情報収集を中心に、ネットゲーム、メールなど様々な活用を体験している。
そのような状況でありながらも、インターネットの関する約束事を決めていない家庭がまだまだ多いことが分かる。特に、いつでも自由に使えると回答している率が高くなる小学校高学年から中学校において、逆に、約束事のない家庭が多くなっているなど、ネット社会に対する家庭の認識が不足しているといわざるを得ない現状が見えている。
また、情報モラル定着の実態に関する数値は、ここ数年、決して高くないレベルで頭打ちになっており、目に見えた高まりは感じられない。前述のような家庭での状況を考えると、情報モラルに関する知識と実践力を高めていくことは学校での授業に頼るところが大きいという現状である。だが、調査結果を見る限り、実際にはリテラシーのように計画的に授業が行われている率は低いのではないかという不安の残る結果となった。
以上のような結果を踏まえ、情報モラル向上の必要性をまずは教師が認識し、系統的・計画的な指導が行われるように働きかけていくこと(研修会・指導計画作り)が必要である。さらには、授業参観や学校からのお便りなどの機会を活用しながら、家庭への啓蒙を進めていくことが学校にとっての急務である。
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